冷蔵庫一掃作戦と豆煮の冒険

豆を煮るというのは、これまでに経験のないことだった。子供の頃から豆は苦手だった。こし餡は食べていたので、大豆自体が嫌いというわけではない。ただ、あの丸い豆に目が付いているように見えて、どうにも苦手だった。
そんな私が、なぜ豆を煮ることに?
それは数年前、帯広の十勝ヒルズを訪れたときの出来心が原因だった。旅先での勢いで買ったものの、やはり好きではないものは冷蔵庫の底に眠ったまま。冷蔵庫を一掃しようと決意したときにも、この豆だけは手が出なかった。というより、そもそもこの豆の種類さえ分からなかったのだ。
見た目は丸くてコロンとしているけれど、黒豆ではないようだ。意を決して水に浸してみると、いくつかの皮が剥けて大豆でなないだろうかと思ったが、今回は甘煮にすることにした。
さて、豆を煮てみると、鍋の中は真っ黒な煮汁に変わり、煮汁でコンロ周りも黒ずんでしまった。砂糖と塩を加え、コトコトと煮込むと柔らかく仕上がった。ネットで調べると「冷ましてからもう一度煮るとよい」と書かれているが、これは黒豆ではない。そんなことを思いながら、とりあえず冷ましている。
とにかく、この豆が冷蔵庫から消えれば、一掃作戦の障害物はなくなる。しかし、出来上がった煮豆は大きな鍋一杯に膨れ上がり、どうやって消費しようか途方に暮れている。友人たちは皆、豆煮が得意だから、これを押し付けるのは気が引ける。
出来上がった煮豆を目の前にして思う。これを食べ切るのには時間がかかるだろう。冷蔵庫一掃作戦のゴールはまだまだ遠いが、とりあえず一歩前進。豆の甘みがじんわりと広がる味わいに、少しずつ慣れていくのも悪くないかもしれない。
さて、次はどんな食材が冷蔵庫の奥から発掘されるのか。それはまた別の物語である。
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