一輪の花と、狭い台所 ――「私の台所物語」を観て

NHKあさイチの「私の台所物語」を観た。
二人の台所が紹介されていたが、どちらも心に深く残る物語だった。

最初の方は、一輪のリンドウの花に励まされながら、「完全な母」を手放していく話だった。
小学校教諭の仕事を辞め、肩書を下ろしたとき、不思議なことに、母としての理想像や教師の姿も、少しずつ剥がれていったという。
その話を聴き、胸が詰まった。
「子育て」を経験した人なら、きっと頷ける話だと思う。

二人目の方の人生は、誰もが経験するものではない。
それでも、彼女の明るさが重い現実を包み込み、観る側を救ってくれた。

二十五年間の思いが詰まった台所は、横歩きしか出来ないほど狭い。
管理栄養士の彼女は、「生きることは食べること」を信じ、天然素材の調味料で家族の食事を作り続けてきた。


夫には裏切られ、子ども二人との暮らしが続いたという。
介護施設で働く収入のほとんどは食費に消え、「エンゲル係数は100です」と笑う彼女に影はない。

家賃と保育園代で収入が消えた時期もあったと語るが、悲壮感は感じられなかった。
話を聞く私の方が、思わずウルウルしてしまう。

出演者とは親子ほど年齢が違う。
それでも私は、すっかり励まされた。

台所は、料理をするだけの場所ではない。
生き方そのものが、映し出される場所なのだと思った。

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