旅に出ようよ|新潟県村上市 人形様巡り3

真冬のコートを着ても春の関西から来た身に新潟の風は冷たかった。
けれど中に入れて頂いた家の方々は、遠くから来た私達をもてなして下さって熱い人情を感じる村上の人形様巡りになった。
人形様巡りは先に書いたように家の奥に入れて頂くので、人形様以外の物も目に入る。
親しくなったお茶屋さんは仏間のお雛様は未だ新しく珍しいものではなかったのに、隣に置かれたお仏壇が余りに見事だった。
長岡仏壇の精巧な飾りはともかく新潟特産の堆朱が塗られた仏壇の柱に目が奪われた。
「お雛様もご立派ですが、お仏壇に目を奪われました」と正直に話すと、我が意を得たりのように話が弾み浮世絵の原画などのお宝も見せて頂く事になった。
お座敷に上がる手前には小さな台の上に、小さいけれどふるーいお雛様も飾られていた。
出し入れの度にどこかしこが壊れるので気を張る仕事だそうだ。
けれど人形様巡りのお陰で1年に1度は必ず出して飾るのでそれはいい事だとお話しされた。

こちらは、鮭の塩漬けを作る工場と店舗で、享保雛や武者人形が見事で見とれていたら「おしゃぎ会館に行かれましたか」とお店の方が声をかけて来た。
「未だ行ってないのですが、そもそもおしゃぎって何ですか」とお聞きすると「おしゃぎはお祭りの時の山車の事で、それを飾っている会館にはこれより古い見事なお雛様があるので、是非ご覧ください。あまり熱心なのでお勧めしたいのです、ここから直ぐですから」
それでは是非にと行って見ると、通りをくるっと回って車を停めた直ぐ傍だった。
そのくらい道と家との関係は小さくまとまっている。

雑誌で見た事のある「享保雛」や「古今雛」がガラスのケースに飾られていた。
何処も照明を落としているので写真はブレブレでお出しできるものは少ない。
「寛永雛」や「元禄雛」にはお会いできなかった。
衣装の綿の入れ方や宝冠が時代を反映して少しづつ違いがあり、ここでは一段と興味を引く並べ方がなされていた。
お雛様のおすべらかしは、近年のようで、享保の頃は宝冠の簪がお顔の周りでビラビラしていて保存の苦心が感じられる。
やはり、何軒かのお家では髪飾りを無くされている事もあった。
享保時代の女雛は袴を大きく膨らませ五衣を着て、宝冠を被っている。
享保の時代が豪華絢爛だったので、お雛様は全体に大きい。限られたお家だけのものだったので大きくても良かったのだけれど、庶民が持つようになると全体に小さくなったともお聞きした。

二つのお雛様は袴のふくらみが違う。

雛人形は京都が主流のように言われているが、市内より日本海側の高浜や久美浜の方で少し見かける。
日本海側は北前船の影響もあったのか、見事なお雛様が町屋に保存されている。
九州の福岡県吉井町や柳川市、大分県日田市のお雛様も見てきたが、村上ほどの規模はなかった。
当時の村上市の繁栄がお雛様に伺えた。

折角のご縁なので村上茶を一袋頂いて来た。
甘くとろりと美味しいお茶が益々村上市を好きにさせてくれる。

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