剪定は沼、差し芽は罠──クレマチスに踊らされる初夏の一幕

梅雨が戻ると予報されたとたん、家人はクレマチスの剪定を始めたのである。
新枝咲きがほとんどだから早めに剪定しなきゃと心では思っていたのに、今まで見ぬふりしてきたツケが昨日きれいに回ってきたのである。
気づけばガレージには椅子と扇風機と蚊取り線香がセットされ、逃げる隙なし。「もうやるしかないか」と重たい腰をどっこいしょと上げた。
剪定したら挿し芽用にと枝を取って、去年増やした苗たちはひとまわり大きな鉢へとお引越し。挿し穂を作るたびに「また来年仕事が増えるなぁ」と頭をかすめるものの、無下にゴミ袋に放り込むにはちょっと後ろ髪ひかれる。このあたりが我ながら甘い。
それにしても、去年せっせと挿し芽した「ルブラ」、赤い花がひらひら揺れてかわいいもんだからつい増やしたら、もう鉢が増殖中。ぐんぐん伸びていい感じに育ってるけど、ここはぐっと我慢で今年はばっさりカット。来年にはきっとそこらじゅうに咲かせたい、とついまた夢見てしまう自分がいる。
体力も根気もないくせに「もうやめよう」と思いながらも、また咲かせたいと奮闘する己がここにいるのである。
剪定、挿し芽、植え替え、そして増えすぎた鉢を見つめてはため息……それでもなぜか、やっぱりやめられない。
きっとこれはもう、一種の沼なのである。
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