奈良・五條の秋を楽しむ、柿色に包まれた一日

紅葉する柿の葉の美しさをご存じだろうか。
山の斜面を一面に染めるその赤は、産地でなければ出会えない。ひとたびその圧倒的な景色を目にすると、翌年もまた足を運びたくなるのである。

十一月も終盤となれば、富有柿のシーズンはちょうど最盛期を迎える。柿は桃ほど収穫量に偏りがないので買い物客で混み合うことも少ないだろう、と高を括っていたのだが、奈良県五條市では11月23日に「柿まつり」が開かれ、その日は会場周辺へのマイカー乗り入れが禁止となる。その日だけは避けたい。
と、言うことで平日に出掛けた。
五條市は自宅からおよそ100キロ。
京奈和道路の五條インターに差しかかると、遠い山肌にオレンジ色の帯が見える。
目を凝らすと、それはすべて柿畑だった。
今年は久しぶりに柿の紅葉が見られる。
そう思うと胸が高鳴った。
インターを降りると道は途端に細くなる。柿畑は山の中腹に広がっているため、周辺の道路はどれも広くはない。桃の産地のように農園が隣り合わせというわけでもなく、一軒ずつ訪ねる形になる。だが柿は日持ちがしない。買い込みすぎても食べきれないので、慎重に選ばねばならない。
向かったのは、口コミの評判が良かった上北農園さんである。
着いてみると、思いがけないほど小さな販売所で、車は一台もない。ここで良いのかと半信半疑で車を止めると、お店の方がすぐに出て来られた。

大きな籠に盛られた柿は、どれも1100円か1000円の表示。
自宅用なら傷ありの1000円がおすすめ、と安いほうを真っ直ぐに勧めてくれる。「皮をむけば味は同じですから」などと言われ、商売気のない清々しさに思わず笑ってしまう。

その横には、6個入り1800円の江戸柿が二盛。家人の目はすっかりそちらに吸い寄せられていた。今日の買い物は、これで十分満ち足りてしまった。
庭先には試食コーナーがあり、柿と皿とナイフが置かれている。
試食用には、お徳用のかご盛に入っていそうな柿が並んでいた。
しかし、硬すぎず柔らかすぎず、ちょうど良い頃合いで、味は申し分ない。
富有柿らしい濃い甘さである。


柿はこれで十分、と山道をさらに登って柿の葉の紅葉を眺めに向かった。
日の当たる斜面には収穫用の数台のトラックが並び作業中だ。
風に揺れる柿の葉が陽光を受けて輝いていた。
その景色を眺めているうちに、不意に「柿の葉寿司」が食べたくなった。
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