ロールキャベツの詩

Mちゃんが「ロールキャベツ作ったけれど持ってく?」と聞いてくれた。
ロールキャベツは私の大好物である。もちろん二つ返事で頂いた。
「ロールキャベツのようなお手間なものを、いいの?」と尋ねると、
「大きなキャベツを買ったからね。手間なものですか、巻くだけだもの」と、Mちゃんはいとも簡単に言ってのけた。
しかし、ロールキャベツは巻くだけではない。巻く前に、キャベツの葉を一枚ずつはがすという大仕事がある。

キャベツがうまく剥がせたら、ロールキャベツは半ば成功したようなものである。
芯の部分を包丁で切り離し、そこからはがすと簡単だと言われているが、実際はそう容易ではない。
芯の部分は比較的うまくいっても、葉の部分は何枚かが固く絡まり、そこを無理に剥がそうとすれば必ず破れる。
水道の水を芯のところから流し込みながらはがす方法もあるが、それでもきれいに剥がれるのは外葉の数枚にすぎない。
葉は下茹でして柔らかくするから、キャベツを丸ごと熱湯に浸す方法もあるようだが、それでは全部の葉を使うことになり、少々もったいない気がする。
私は一度に大量を茹でるのは面倒なので、蒸し器を使う。
少し破れていても、まあいいかと胡麻化しながら巻いていった。
そういえば、Mちゃんのロールキャベツはきちんと硬く巻かれていたなぁー。
私もしっかり巻いたつもりであったが、どこかに空気を含んでいるところがある。
きっとMちゃんはロールキャベツが好物で、何度も作ってきたのだろう。
巻き終えたキャベツをフライパンで軽く焼き、こんがりと焦げ目をつけてから煮込んでいく。
季節の変わり目の雨が降る。
台所に漂う香りが、しっとりとした雨模様の夕暮れとよく似合っていた。
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