春うらら

きなこの目の先はお向かいのお玄関
そこにはきなこをわが子のように可愛がって下さるご夫婦のお家
朝起きるときなこは私におざなりに挨拶をすますと、お向かいのドアが見える位置に座り、ひたすらドアが開くのを待っている。
夕方に必ず散歩に出かけるのでその時間までひたすら待っている。
ドアが開くと甲高く「わんわん」と呼びかけるので、お向かいさんの出入りは筒抜け状態でお気の毒。
私が動くと慌てて後を追い、足の間にまとい付いて思うように動けない。
そして座ると、きなこはひたすら向かいのドアを気にしている。
ついにお向かいさんは大事なお庭に芝を張り、きなこのドッグランにすると申し出て下さった。
本当に、いいのかしらん?
今日は春のように暖かく、きなことぶらぶらと散歩に出かけた。
3歩も歩くとブルブル震えていたきなこもすっかりお散歩好きになって、どこまでも歩くようになった。
こんな日が続くといいのにね、きなこ。

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