きなこ占いが当たった夜 ― WBCオーストラリア戦

もうWBCの話題はそろそろ終わりにしよう、と思っていた。
それでも、こんな試合を見せられてしまうと、やはり書かずにはいられない。
オーストラリア戦は六回まで膠着状態。
大谷も、鈴木も、誰のバットも鳴りをひそめた。
オーストラリアのピッチャー、マクドナルドはひときわ目立つ長身だった。
ふと頭をよぎる。
「長身のピッチャーは苦手なのだろうか?」
いやいや、そんなはずはない。
大リーガーの彼らが長身投手を打てないわけがない。
そう思いながらテレビを見つめているのだが、スコアボードはぴくりとも動かない。
この日は文旦の願掛けはしなかった。
しかし我が家には、もう一つジンクスがある。
それは、愛犬きなこの食事である。
きなこは最近どういうわけか「いやいや期」。
なかなか素直に食事をしてくれない。

毎回三十分ほどかけて、少しずつ、あの手この手で食べさせる。
ところが、時々、同じ食事なのに驚くほどすんなり食べる日がある。
昨日がまさにそうだった。
きなこの食事は、ほんの数分で終わった。
それは良い事が起こる前兆なのである。
その時、家族の頭に浮かんだのは同じことだった。
「今夜も、侍ジャパンは勝つかもしれない」
試合は相変わらず膠着状態。
ハラハラするたびに、「きなこ占い」を思い出す。
そしてついに六回表で日本が一点先制されてしまう。
もうだめか……という空気が漂い始めた、七回の裏。
吉田のツーランホームラン。
一振りで逆転。
続く八回裏「ここで追加点がほしい」と思った矢先、
なんと三点勝ち越し。
奇跡のような展開だった。
あと一イニング抑えれば勝利。
九回表。
ところがオーストラリアも粘る。
二本のホームランで一気に追い上げてきた。
まさか、まさか。
手に汗を握るとはこのことだ。
テレビの前で固まったまま見守る。
そして試合終了。
その瞬間、頭の中に流れたのは、長嶋さんの言葉だった。
「野球はメークドラマ」
娘が文旦を買って来ていた。
試合のあと、家族でゆっくり「幸せの文旦タイム」。
WBCは本当に不思議な試合を見せてくれる。
そして我が家ではどうやら、きなこ占いと文旦ジンクスがまだしばらく続きそうである。
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