踊る証券マン

電車から見た皇子山の紅葉

12月の企画展「しまいの月の贈り物」HPにUPしました。
しまいの月はskogランチをご用意いたします。
早めのご予約をお待ちしています

かれこれ20年ほど前の暑い日、庭で水撒きをしている私に若い証券マンが話しかけてきた。
新入社員で新規開拓に出かけてきたところと言う。
暫く立ち話をして別れたのだけれど、翌日から連日朝になると電話がかかった。
暇なときは四方山話をしていたけれど、あまりに気の毒なので口座を開く事になった。
小さな損を繰り返しながら暫く付き合うと、彼の面白い一面を聞く事になった。
芸大の舞台芸術家卒業の経歴である事。
既に子供がいる事。
私に電話をかける時だけが仕事をしているモードになれたらしい。
電話が終わると猛暑の外へ出て、新規開拓に走らなければならない。
カッタ―の下のシャツの形が肌に残る程、外回りをしていた。
奥さんはジャズダンスの先生をしているので、時々彼も手伝っていると言うので、私は「踊る証券マン」とあだ名していた。
その彼が会社を辞めてジャズダンスに専念すると言いだした。
その世界がどんなものか私は知る由もなく、それまでのご縁のはずだった。
ところが教室の発表会をする時にご招待をして頂いた。
沢山の生徒さんに囲まれて「先生、先生」と呼ばれ照れている笑顔に出会った。
その後は暫く御無沙汰していたのだけれど、先日25周年の記念の会だから時間があれば来て欲しいと招待状を送って来た。
子供さんが20才と16才になったとも添え書きされている。
これは万障繰り合わせて行くしかない。
ジャスダンスアートは大きなホールを立ち見にするほどの盛況だった。
花束を託ける列が延々と続いている。
メッセージカードを忍ばせて受付に花束を置きながら、彼に会えるのかな―と思った。
舞台上で踊る彼は、筋肉マンに変身、20歳になったと言うご長男が私が出会った頃の彼にそっくり。
家族4人が舞台上で踊る姿を眩しく見た。
月日の早さを感じたけれど、大勢の観客を動員したジャズダンスアートは彼の進んだ道が間違ってなかった事の証になった。
お見送りに並んだ彼は、未だ息も整ってない状態だったけれど、両目に自信が溢れている。
私の事のように嬉しく、沢山の観客の方に手を合わせたくなった。

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