こっそり読んだ手紙が教えてくれたこと

『暮らしの手帖』三十八号を購入した。
毎号楽しみにしている「家庭学校」を読んで、今回はとても心に残る投稿に出会った。

タイトルは「こっそり読んだ手紙」。

投稿者が中学三年生の頃の話である。教室が騒がしかったとき、一人の男性教諭が現れて「うるせーよ」と大声で怒鳴った。ついには机を蹴飛ばした。その机は投稿者の机で、そこにかけていたナイロン製のかばんは引っ張られ、真っ二つに裂けてしまった。教室は一瞬にしてに静まり返ったという。

先生は「この机のもの、あとで職員室に来い」と言い残して去った。
放課後、呼ばれた投稿者に先生は「悪かったな」と言って、三千円の入った封筒を渡した。

家に帰って事情を話すと、母親は「これは受け取れませんね」と言い、父親も同意した。
翌日、母親は先生に手紙を書いた。投稿者はその手紙をこっそり読んでしまったのだそうだ。

そこには、思春期の子どもを指導する大変さへの感謝が述べられ、今回のような指導上で起きた不慮の出来事は気にしないでほしいと書かれていた。

その手紙を受け取った先生から、返事が届いた。そこには、生徒に現金を渡すと言う自分の軽率な行動とそれでなかった事にしようとした自分の短絡的な考えを反省し、保護者の理解への感謝が綴られていた。

投稿者は、大人同士のやり取りを初めて目にして、先生が親に感謝と反省を伝えていることに驚いた。そして何よりも、自分の両親を初めて深く尊敬したと綴られていた。

──今の時代に通じる話ではない。けれど私は、この投稿を読んだだけで、今月の『暮らしの手帖』を買った甲斐があったと思う。

四十年前なら、私は四十歳で子どもは小学生。おそらく投稿者のご両親も同じ世代だったのだろう。
私だったら、あのような手紙が書けただろうか。正直、自信はない。

けれど、これからはそうありたいと思う。
きっといつか役に立つ。

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