秋風と共に

涼しい日曜日であった。何の予定もない。
気になっていた玄関のたたきの掃除をしようという積極的な気持ちが湧いた。

膝を悪くして以来、膝より下の作業は避けてきた。膝をついての作業はできるが、そこから立ち上がるには少なからず覚悟がいる。
三月までは毎朝、拭き掃除で整えていた玄関のたたきである。家人が掃き掃除をしてくれるので、それなりの状態は保たれているが、一度拭き掃除をしたいと思いつつ、暑さと足のしんどさにかまけて避けてきた。

雑巾を手にたたきへ下りると、意外にすっと座れた。
以前も記したが、バリ島の割れ門に似た木彫りのオブジェを手に取ると、案の定、裏に小さな蜘蛛の巣があった。
「ごめん、ごめん」と言いながら拭き取ると、黒光りする木目がすっきりと蘇った。

さらに小さな手帚でタイルの目地を掃くと、見た目以上にごみが出た。そのまま水拭きを重ね、ついでに夏のサンダルまで磨いてしまった。

さて、ここから立ち上がれるのか。何かにつかまらねばと思う間もなく、意外に軽く立ち上がれた。
これには驚いた。

もはや言い訳はいらない。
秋風と共に、普通の生活を取り戻す、いいきっかけになった。

玄関の神様は、待ってくれていた。

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