本が教えてくれる事|石に一滴一滴と食い込む水の遅い静かな力を持たねばなりません。

以前テレビの番組で「ピンピンコロリ」の極意を放送していた。
①子供の家族と同居しない事
②本を読むこと
③住んでいる地域が安全であること

つまり、本は知識の源であるだけに、生きる力に繋がるというのだ。
私が読むのは文芸書で、小説とエッセイがそのほとんどだけれど、小説ほどワクワクさせてくれるものはない。
いったん気に入ると同じ作家の小説を片っ端に読むタイプなので、途中で筋が読めたり、言いたいことが見えたりすると急に興が覚めることもある。
「流転の海」を読了した後も、宮本 輝の本を読んでいる。
読み始めはとっつき悪く、これはハズレかと思う事もあるけれど、読み進むと宮本の世界にのめり込む。

作家は、あらゆる分野の話をいかにも当然知っているかのように書くけれど、それは資料を集めたり協力してくれる人たちが専門の知識を提供するからという事は知られている所だ。
そうした苦労の上に上梓させた小説の知識を、読者はいとも簡単に新しい知識として取得出来るのも小説の世界だ。
宮本の小説は虚構の中に混ぜ込まれる事実がある。
泥の河にせよ実体験が書かせた本だ。
だから、余計に心に響き、未だ先を読んでみたい。
読了すると、自分が少しいい人になったような気分になれるのもいい。

先日、内館牧子著「どうせ死ぬんだから」と「終わった人」を読んだ。
内館さんの本は初めてだったけれど、佐藤愛子さんの本に通じるような痛快さで最初からのめり込んだ。
けれど、内容はお腹を抱えて笑いながら鼻の奥がツーンとしてくる。
どちらの本も私たち夫婦の中にある姿だった。
この本を50代で読んでいたら、もしかしたら60代の生き方が違ったかもしれない。
そんな可能性は10%はあるように思う。

今、思えば私たちの60代は特殊であったと思う。
それは「終わった人」を認めなかったからともいえる。
でも、特殊で無謀な60代に多くの知己を得て、新しい世界にスタートするきっかけになった。
後悔はないどころか、満足の倍返しと思っている
幸い同居する子供の家族もないし、優しいご近所さんはいるし、地域は安全である。

そして、ヒヤシンスも順調に生育している。

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