冬はつとめて ― 夜明けの空を追って

私は夜明け前の空が好きだ。
清少納言の『枕草子』ではないけれど、「春はあけぼの」という言葉が、千年を経た今もまったく色あせず、私の心にも響いてくる。
そして今は立冬を過ぎ、季節は冬。
いわば「冬はつとめて」である。現代の言葉にすれば、「冬は早朝がいい。雪が降っている朝ならなおさら」であろう。
私は春に限らず、夏も秋も冬も、夜明けの前の空に目を奪われてしまう。
ようよう明けていく山の端の色合いには、毎回違う表情があり、見飽きることがない。

そんな理由から、早起きはまったく苦にならない。
一昨日は一年ぶりに、長野県の市田まで渋柿を買いに出かける日だった。
片道三時間かかるため、家を出たのは午前六時。
びわ湖の西側を走る湖西地域では、対岸の東の空から朝日が昇る。
この日の出時刻は六時二十三分。
ちょうど六時十五分、琵琶湖大橋を通過した。
日の出前、いちばん美しい時間である。
快晴の予報が出ていた朝の空は、まさにドラマのクライマックスを迎えようとしていた。
次第に赤みを帯びていく空は、思わず息をのむほど美しい。
白く輝く月が、まだ沈みきらずに空の高みに残っている。

やがて、山の端から太陽が顔を出した。
強烈な光が差し込み、車内がふっと温かくなる。
その瞬間、改めて太陽の力を思い知る。
まるで「今日は、素晴らしい一日になるよ」と、太陽が約束してくれているようだった。
そう感じたのは、きっと私自身の期待がそう見せたのかもしれない。
それでも――早朝の夜明けの美しさは、やはり格別である。
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