日曜の夜に落語の世界を味わう — 「元禄落語心中」

写真提供NHK
日曜日の遅い時間に、「昭和元禄落語心中」の再放送が始まり、今回でちょうど4話が放送された。
歌舞伎界に「国宝」があるなら、落語界には「落語心中」がある。どちらも長い歴史を持ち、厳しい芸道を背負っている点で共通する。最初は何気なく観ていたが、いつの間にか引き込まれ、日曜日の楽しみの一つになった。
原作について調べると、雲田はるこ氏による漫画作品であり、後にアニメ化・実写ドラマ化・舞台化もされた人気作であることが分かった。今回のドラマは2018年に放映された作品の再放送である。

物語の舞台は昭和。落語に魅せられた人々の人生と芸道を丁寧に描いている。主人公は八代目 有楽亭八雲(芸名:菊比古)と二代目助六(本名:初太郎)である。二人の芸風は正反対である。
助六は豪快で人情味にあふれ、聴衆を熱狂させる天才肌である。一方、菊比古は繊細で芸に真摯に取り組む職人気質である。二人の友情と競い合い、さらに芸者・みよ吉をめぐる三角関係が、やがて悲劇の始まりとなる。
「昭和元禄落語心中」は、落語を軸にした芸道ドラマであり、人を笑わせる芸の裏にある人間の業や情念を描いた作品である。落語そのものの描写が非常に丁寧であり、助六役の山崎育三郎の演技は秀逸である。菊比古役の岡田将生は物静かな所作の中に、どこか怖さを漂わせる演技を見せる。
タイトルに「元禄」とあるのは、「心中」という言葉を歌舞伎や浄瑠璃などの古典芸能と結びつけ、芸に生きる者たちの宿命的な物語であることを示すためである。
八雲は真打になると、「死神」という演目を得意とした。人間の生と死を題材にした噺であり、物語全体のテーマと重なる。八雲の「死と芸への執念」を象徴する噺である。
一方、「野ざらし」は若き助六の得意演目である。菊比古との芸風の違いを象徴する、明るく人情味あふれる噺である。二人の芸の対比が鮮やかに現れる。
現在、物語は4話まで進んでいる。今後、大きな転換が訪れることは間違いない。
この物語のテーマは、「芸に殉じた者の悲劇」と「それを乗り越えて芸を生かす者たちの希望」である。落語版の大河ドラマと言えるだろう。
いつか機会があれば、落語の高座で「死神」「野ざらし」「芝浜」を聴いてみたいものである。ドラマ「元禄落語心中」を観た感動は、しばらく心に残り続けそうである。
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