「たち切れ線香」に心を奪われた一日 ― しがらくご第四十八回

第四十八回「しがらくご」が、今年初めて浜大津・スカイプラザ浜大津7階スタジオ1で開催された。
琵琶湖大橋より北では積雪だったようで出足を心配していたが、会場に着いて驚いた。いつも空いている最前列と二列目が、そこそこ埋まっていたのである。
この日は出演者全員が気合の入った高座を聴かせ、いつも目立つ「紅雀」がかすむほど、全体の完成度が高かった。
中でも圧巻だったのが、トリを務めた二乗の「たち切れ線香」である。
若旦那と芸者・小糸の悲しい恋物語。噺に引き込まれ、笑いを忘れて結末を待つ自分がいた。会場も水を打ったように静まり返り、客席全体が噺に集中しているのが伝わってくる。
「線香」とは、時計の無かった江戸時代に芸妓が客に酌や演奏をする時間を計るために使われていたものだ。一定の長さの線香が燃え尽きるまでが一単位だったという。
若旦那と会えぬ日々に心を病んだ小糸は、線香が立ち切れるように、はかなく命を落とす。
若旦那が駆けつけると、亡霊となった小糸の三味線が流れるが、それは最後まで弾かれず、途中で止まる。
「なぜ最後まで聴かせてくれないのか」と言う若旦那に、返ってきたのは
「線香がたちきれました」という一言。
物語全体は非常にドラマティックで哀切を誘うが、ラストで「線香が立ち切れました」という一言で「落語」の世界に引き戻された。
この意外な切り返しは、落語では始めた経験した。
また、若旦那、小糸、番頭、女将とそれぞれに深みのある人物像が興味深い。
こんな噺を聴くと、落語の楽しさは何倍にもなる。
次回は3月23日。木戸銭は500円値上がりするが、今日のような高座が四人そろうなら、むしろ安いと感じる。
すっかり落語の面白さに目覚めてしまった。

コメント
この記事へのトラックバックはありません。












この記事へのコメントはありません。