名もなき桜に心を奪われた日

東京で桜といえば、上野公園、目黒川、千鳥ヶ淵、隅田川と、人を集める名所が思い浮かぶ。
千葉にいた頃の私は、いわゆるお上りさんで、「どれどれ」と、その有名な桜を見に出かけたものだ。
けれど、一番心に残っている桜は別にある。
府中へ免許証の書き換えに行った帰り、通り抜けた多磨霊園で出会った桜だ。
ちょうど散り際だったのか、風に舞う桜吹雪に包まれた。
あの光景が、私の「桜の追っかけ」の始まりだったように思う。
昨日は、琵琶湖の対岸へ行く用事があった。
国道を避けて走ってみると、道のあちこちで桜が満開になっていた。

川のほとりには、名前も知らない桜の並木がある。
誰に見られるでもなく、それでも季節が来れば必ず姿を現す桜たち。
たった十日ほどの間だけ、誇らしげに咲き誇る。
一年のほとんどは見向きもされず、ときには毛虫がいると嫌われ、切られる運命さえ受け入れながら、それでも咲く。
やはり、「花の命は短い」のか。
なぜだろう。
今年の桜は、少しだけ、淋しく見えた。
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