独り言のようで独り言でない選挙の話

私が若かったン十年前は、少し違った意見を言うと「今の若い者は……」と言われたものである。
今宮本輝著『潮音』を読みながら、そんな記憶がふと蘇った。
どの時代にも、「開国」とでも呼びたくなるほどに、時代がゴロンと回転する瞬間がある。
その回転を前ぶれとして感じ取る者もいれば、一夜のうちに世界が変わったように思う者もいる。
その受け止め方は、人それぞれである。
若い意見に迎合するつもりはないが、耳を傾けてみると、思いがけず新たな視点が開けることもある。
私自身がパソコンと出会ったのは2000年のことであった。
それはまさに「黒船」といえるような衝撃であった。
そして今では、考えを揺さぶり、広げてくれる存在になっている。
ひとつ検索するだけで、自分の思考が反転することもある。
それを認めるには、少なからぬ勇気が要る。
けれど、年を重ねた今は、一夜にして意見が変わる自分をも面白がれるようになった。
さて、今年の参議院選である。
立候補している政党・団体は実に多く、その数にまず戸惑わされる。
若者や女性の立候補も目立ち、「どぶ板選挙」から「ネット選挙」へと、選挙の姿も様変わりした。
失敗してもいいから若い人に任せてみたい――そんな思いがある一方で、候補者の「人間の軽さ」が気になってしまうこともある。
しかし、軽さを感じさせるのは若者に限らない。
大臣の不用意な一言から垣間見える本音に、馬脚があらわれたような印象を受けることがある。
「人は誰でも間違える」と言うが、それが許されるのは、基本的には若い世代の話であろう。
だからこそ、騙されぬよう見抜く目を持ち続けたいと思っている。
すべてを見極めることは難しい。だが、それでもなお、若い世代に一度託してみたいという気持ちは強い。
……ただ、多すぎる政党の名前の区別がつかないのが、正直なところである。
私の独り言ではあるが。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。