スマホの機種変更で、寿命まで考える羽目になるとは

スマホの機種変更ほど、覚悟のいる作業はない。
4年ぶりに機種変更を済ませた。
データの移行は思ったより簡単だった。文明は進歩しているのだと、少し感心したほどである。
ところが、本当の試練はそのあとに待っていた。
アプリを開くと、どれもこれも空っぽである。
まるで引っ越したばかりの部屋のようだ。家具も食器も何もない。
私にとって大切なのは、その中身なのだ。連絡先も記録もやり取りも、すべてがそこにある。いわば私の心臓部である。
ひとつずつメールアドレスを入力し、暗証番号を入れ、さらにSNSに送られてくる認証番号を打ち込む。
ようやく使えるようになる。
この「ようやく」が、実に遠い。
しかも、入力したはずのパスワードが違うと言われる。
違うはずはない。私が決めたのだから。
しかしスマホは容赦なく「違います」と告げる。
機械は正直である。
これなら、バッテリー交換だけで済ませたいと思うのも無理はない。
スマホを買い替えた人は、皆こんな作業をしているのだろうか。
データ移行は4,700円ほど提示されたが、自分でやることにして断った。だが今となっては、あの時の私は少し強気すぎたのではないかと思わなくもない。
周囲の人に聞けば、アプリひとつにつき数百円かかり、合計すると大きな金額になるという。それに懲りて、結局は自分でコツコツ移行させている人もいるそうだ。
結局、誰も助けてはくれない。
自分でやるしかないのだと観念した。

今回のスマホは4年ローンである。最初の2年間は安く、3年目からは月々が1,000円ほど上がるという。だがその時に機種変更をすれば、3年目以降の残債は支払わずに済み、新しいローンが始まるらしい。また2年間は安いのだという。
何となく「2年縛り」のようでもある。
縛られているのは契約なのか、それとも私なのか。
そして、ふと思った。
私はこの4年ローンを完済するまで生きているのだろうか、と。
80代になって、スマホの支払いで自分の寿命を考えるとは思わなかった。
小さな機械ひとつが、人生の残り時間を意識させる。
たかがスマホ、されどスマホ。
今日も私は、ひたすら認証番号を入力している。
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