「エールフクシマ」再び咲かせる日まで 〜花に託す想い〜

クレマチス「エールフクシマ」を育てている。
この花は、その名の通り、福島にエールを送る思いから手にしたものである。
初めて花を咲かせたのは昨年のことであった。咲いた花は、まるで親株である「ダイアナ」と見間違うほど美しく、感慨深いものがあった。成長も旺盛で、差し芽をすればよく根がつき、生命力の強さを感じさせた。
今年はさらに多くの花を咲かせてくれるものと期待していたが、結果は一輪のみであった。正直、肩透かしを食ったような思いである。不思議なことに、「ダイアナ」も今年は一輪も咲かなかった。日照不足か、あるいは他の原因があるのかもしれない。
「エールフクシマ」に特別な想いを寄せているのには理由がある。福島の震災跡地を訪れたのは、震災から10年目の2021年のことだった。日本中が新型コロナウイルスの影響で沈んでいた時期でもあった。現地で案内をしてくださった方々は、訪れる人も少なくなり、震災の記憶が風化していくことを憂えていた。
そのような中、震災の爪痕が残る地で、花を育てるグループの方々と出会った。花を通じて癒しと再生を願う姿に胸を打たれたことを、今でも鮮明に覚えている。
「エールフクシマ」は、そうした想いを込めて育て始めたクレマチスである。たとえ今年は花が咲かなくとも、この苗が枯れてしまったわけではない。来年こそは、美しく咲かせたいと心に誓っている。
改めて剪定を行い、仕立て直しをするつもりである。花は言葉を持たないが、咲くこと自体が何よりのメッセージとなる。
福島の震災跡地で見た景色、出会った人々との会話、その一つひとつを、私は忘れない。そして、あの地を想いながら、「エールフクシマ」をもう一度咲かせたいと願っている。
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