いのち-4

去年の6月に「がん」の手術を知らせてきたMさんは去年9月にギャラリーまで来てくれた。
暮れには九州の海で魚を釣っていると知らせてくれた。
1月に私がエジプトから帰った後、気になって電話をすると入院中でかなりしんどいと言っていた。
「電話して悪かったかしら」というと「あんたの声は元気が出るからまたかけて」といってくれたのだけど、だんだんかけにくくなった。
思い切ってかけたのは2月に入ってから。
コールが長く続いた。
いやーな予感がして自宅に電話をした。
こちらの電話も長いコールだった。
恐る恐る「いかがでしょうか」と聞くと「今自宅ですが、急変したので今から病院に戻ります」といわれて以来電話をかけていない。
今日、元気なMさんの声で目が覚めた。
顔色もよく、私は何を勘違いしていたのかと笑ってしまった。
Mさんを良く知る人たちにも心配をかけたので、すぐに元気なことを知らせようとすると、彼はポケットから携帯電話を出した。
「携帯電話を持っているのなら連絡してよ。心配をさせておいて、ひどいじゃないの」といったのか、思ったのか忘れたが、私が携帯を見た瞬間にMさんは消えてしまった。
暫らくはキョトンとするほど、リアルな姿と声だった。
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