道の駅で出会った大豆と南高梅

金沢に行くと必ず立ち寄るのは道の駅である。観光地らしい場所へは行ったことがないが、観光地を訪れるならやはり一泊が好ましい。
ある道の駅でのこと。常備している大豆が切れたため、500g220円の大豆が目に留まった。少し小ぶりで、値段が安すぎるのが気になり、かごには入れなかった。
レジに並ぶと、前にいた方のかごにはその大豆が大量に入っていた。「その大豆はお味噌を作られるのですか?」と思わず声をかけた。すると返ってきたのは、「大豆を蒸すんですよ。何も足さずに蒸し大豆を作って食べていたら、髪の毛が増えてきてねえ」という意外な答えだった。
私も日々大豆を食べている。大量ではないが、月単位で見ればそこそこの量である。しかし髪の毛が増えた実感はない。それでも、再びその大豆をかごに戻し、二袋購入した。
また、方々の店先で赤く熟した南高梅を探していたが、なかなか見つからなかった。ようやく一軒、美しく熟した南高梅を発見。2Lサイズ1kgで1580円。初めての購入で高いか安いか判断はつかなかったが、「梅は高い」と毎年聞いていたので、これまでは避けていた。
しかし、貴船でいただいたノンアルコールの梅酒ソーダが非常に美味しく、自分でも作ってみたくなった。
帰宅後、梅を洗い、ヘタを取り、ざるに干した。部屋中に広がる何とも言えない香りに包まれた。見た目も美しく、花がなくともこの風景があれば救われると感じるほどの満足感だった。
もう二三日熟成させたら、一度冷凍して氷砂糖で漬けてみようと思っている。
ざるの上で色づく南高梅からは、甘くやわらかな香りが立ち上り、部屋の空気がゆっくり変わっていく。買ったばかりの大豆は、今朝、水に浸けておいた。明日は蒸してみるつもりだ。
どちらも特別なことではないが、台所に立つ手元に、旅の気配が残っている。そう思えるだけで、少しうれしい。
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