姪と私の、少し不思議な同居生活

姪は、週に数日我が家に滞在するような生活をしている。彼女のマンションは車で20分ほどの距離だけれど一人暮らしは寂しいらしい。
そして驚くことにあっと言う間に我が家の台所の主になっていた。
私より冷蔵庫内を熟知して、危ない食品を見つけるとそれから使う献立を考えてくれる。
ある日「焼きそばのソースがちょっと薄いかも知れないからウスターソースを少したらそうか」といえば「冷蔵庫の左ポケットの一番上にほんの少し残ったウスターがあるから、それから使って」という。「誰が冷蔵庫の主やの」と思うけれど、言われた場所には忘れ去られたウスターがあったから驚いた。
「あのねー、地方に行くと美味しそうな調味料が色々あってね、つい買うけれど1、2回しか使わないんだよね。」と言い訳すると「そういう事って、あるよねー分かるわー」と肯定してくれる。
彼女と話をすると肯定してくれる返事が返って来るのでホッとする。
子供の時から結婚するまでは姉妹のように一緒に過ごしていたけれど、彼女が商家に入って以来店先で会っても10分も話をする時間はなかった。彼女の母であり、私の長姉の介護も重ならないように出かけていたのでお茶を飲む時間すら作れなかった。それが、思わぬ彼女の不幸な出来事以来、また姉妹のように過ごしている。
ひと月前に彼女がマンションに越して来た時は、腑抜けている彼女を叱咤激励して彼女の台所を整えたのは私である。
台所さえ整えれば暮す事は出来ると、何度かの引っ越し経験から判断したからである。
ボチボチと一人暮らしをスタートさせたけれど、毎日だれかれとなく来る人が絶えなかった自宅から誰にも会わないマンション暮らしは合わないようだった。
「迎えに来て欲しい」というメールにびっくりして飛んで行った。
年末頃には新築の家が元の場所に建つ予定である。それまでの数ケ月ここでゆっくりすればいいと思うけれどゆっくり出来るのはどうやら私の方のようである。
昨日の朝、「帰ります」と言って帰っていった。
ところが、彼女が帰った後は、自分の台所なのに献立が浮かんでこない。
明日たり「来ない?」と声をかけてみようかな。
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