最後の晩餐

珍しく家人が食事に誘ってくれた。
何を食べようかと思案しても「何々」と思い浮かぶ物もなく、京都までの道のりは億劫でもある。
結局久しぶりに「お好み焼き」と決まった。
お好み焼きを食べながら10年くらい前の母の言葉を思い出した。
当時母は私の家にいたのだけれど、歯の調子が悪かったのと私の料理の味付けが薄味すぎると食事にはかなり不満があったようだ。
毎日の献立に困って母に聞いた。
「明日死ぬといわれた時は何を食べたい?」
母は思いがけない答えを返してきた。
「明日死ぬ時には胸がいっぱいで何もいらないわ」というのである。
私は母の好物を作って喜ばせようとしたのだけれど、冗談は通じなかった。
レストランの写真を見ては「何処そこ」と楽しみに行くことはあったけれど、この頃はそれが億劫になってきた。
家の白いご飯と野沢菜の漬物、福岡の明太子でもあればもう、十分にご馳走だと感じるようになった。
さて、私の最後の晩餐は?
やはり白いご飯がいいな。

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