虚像の砦 ‐ 真山 仁

真山仁さんの本を読むといつも目からウロコ。
物を見る視点が矯正される。
彼の書く本が読み易いのは、文章が平易で、過去の事象を踏まえた物語になっているので感情移入のし易いこともある。
久しぶりに京都の書店に寄って文庫本を探している時に「虚構の砦」を見つけた。

テレビ業界の裏側を描いた小説だ。
テレビ局の表の顔は表現の自由を貫く正義の味方、弱者の味方として存在するも裏側ではスポンサーや政治家と癒着した顔も存在する。
そこで流されるニュースがいつも正しいとは限らない。

2004年にイラクで3人の日本人が拘束(wikipedia)された。
このニュースは自衛隊をイラクに派遣した小泉内閣を転覆の危機にさらすほどの出来事だった。
人質家族がテレビに出て自衛隊を撤退させない政府を非難したが、これもキャスターの思惑であったとか、
イラクに入国することを厳しく規制したにもかかわらず入国した人質への自己責任を問う声が大きくなった。
未だに疑問にされているのはこの人質は自作自演ではなかったか。等々が小説らしく書かれているので胸のつかえが降りるよな本だった。
それらを下敷きにテレビ局内の力関係、外圧。
ま、そんなもんよと思いつつも「テレビのニュース」を信じきるのは危ないなーと警告が聞ける本だ。

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