ひざっ小僧と湯たんぽ

加藤登紀子が唄っていた「ひとり寝子守歌」を覚えておられるだろうか。
「ひとりで寝る時にゃよおーーひざっ小僧が寒むかろー」と言う、あの唄である。

この冬、私は湯たんぽを使い始めた。
布団に入った時、足もとが温かいと眠りやすいだろうと思ったからである。電気アンカーではない。アンカーは朝まで温度が変わらないが、湯たんぽはだんだんぬるくなる。そこがミソなのである。

もともと私は、冷たいシーツが好きな性分である。電気シーツなど、とんでもない。あんなぬくい布団では眠れない。布団の中で徐々に温まっていく、その過程が心地よいのである。
ところが近ごろは、その「徐々に温まる力」が落ちてきた。ならば、せめて足もとだけでも暖かくしようと、湯たんぽを使い始めた次第である。

ある夜のこと。
足もとは十分に温かい。むしろ温かすぎるくらいだったので、湯たんぽを胸のあたりまで引き上げてみた。それでも足もとはぬくぬくしているし、抱え上げた湯たんぽは胸から腹にかけてじんわりと温めてくれる。

するとどうだろう。
入眠の下手な私が、ものの一分と持たずに眠ってしまった。その心地よさといったらなかった。

以来、湯たんぽは早めに足もとへ入れておき、いざ眠る時には「ひざっ小僧」のあたりを温めることにしている。
時には入眠剤を使いたくなる夜もあるけれど、いつもより五分ほど余計に時間がかかったとしても、薬なしで眠ってしまう。

ある朝、ふっとあの唄を思い出した。
半世紀も昔の歌詞が、こんなところで身に沁みるとは思わなかった。

――なるほど。
ひざっ小僧は、やはり寒いのである。

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