雨後の東福寺の庭

雨後の東福寺は、青もみじが艶々と輝いていた。
せっかくなので、方丈にある「八相の庭」にも足を延ばした。
広い方丈の東西南北に四つの庭が配され、「八相成道」にちなんで八相の庭と呼ばれている。
昭和を代表する作庭家・重森三玲による庭園で、「東福寺本坊庭園」として国の名勝にも指定されている。
方丈に入って最初に目に飛び込んでくるのは南庭である。
石だけで構成された枯山水。

京都・大徳寺大仙院の庭は何度か拝見している。
鶴や亀に見立てた石組みを人生になぞらえて語られる和尚さんのお話が面白く、庭を見る楽しみを教えて頂いた。
東福寺の石庭も、きっと深い物語があるのだろう。
けれど凡人には、その意図を読み解く力がない。
私には、とげとげしい石が横から見ると大黒さんに見え、反対へ回ればゴジラに見える。
その程度なのである。
少し情けない。
小雨の中では植木屋さんが黙々とつつじの手入れをしていた。

西庭には、四角く刈り込まれたつつじが整然と並び、咲けばさぞ美しいだろうと思わせる。
その大胆な造形もまた重森三玲らしい。

北庭では、鮮やかな苔と市松模様に配された石との対比が美しかった。
ところが後で調べると、東庭は円柱の石で北斗七星を表しているという。
全く記憶に残っていない。
人の記憶とは、実に頼りないものである。
それでも、この庭を拝見して思った。
京都の庭の美しさを、私はすっかり忘れていたのだ。
一緒に歩いたのは、花友であり、これからは墓友になる人である。
バラやクレマチス、宿根草の庭について語り合ってきた私たちが、
最後に美しいと思ったのは、苔の庭だった。
人生の最後に眠る場所も、
こんな静かな緑に包まれていたら幸せだろう。
そんな思いまで共有できた一日だった。
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