青もみじの東福寺

京都観光となると、京都人は少し顔をしかめる。
確かにこの日も、伏見稲荷や清水寺の前を通ると、道路は外国からの観光客で埋め尽くされていた。
そんな光景を見るたびに、京都観光から足が遠のいていた。
ところが今回は、静岡から来られた墓友さんをご案内することになり、久しぶりに東山へ向かった。
最初に訪ねたのは、樹木葬のある東福寺塔頭・正覚庵。
そして、その足で東福寺へ。
東福寺は京都を代表する紅葉の名所である。
秋には近寄ることも難しいほど混み合う。
けれど今は青もみじの季節。
しかも台風と梅雨前線の雨に洗われたばかりのもみじは、一年で最も美しい頃ではないかと思っている。
雨は小雨になり、気温も低く歩きやすい。
観光客も十人ほどしか見当たらない。
まさに穴場である。
名所・通天橋も貸し切り状態だった。
橋の周囲には約二千本の「通天もみじ」が植えられている。
東福寺を開いた聖一国師が中国から持ち帰ったと伝えられ、葉先が三つに分かれているのが特徴だという。
橋の下の洗玉澗は、雨で水かさを増し、轟々と音を立てて流れていた。
通天橋は屋根があるので傘もいらない。
ゆっくりと青もみじの谷を眺めることができた。

東福寺には桜がほとんどない。
禅寺の修行の妨げになるとして、かつて桜は切られたと伝えられている。
華やかな桜よりも、静かなもみじを選んだのである。

その結果、今では京都一とも言われる紅葉の名所になった。
桜を切らせた足利義持は、
今の東福寺を見たら、何を思うのだろう。
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