バームクーヘンのご縁

私の後ろに並んだご夫妻が最後尾になったことで、お互いにホッとして、思わず、
「良かったですねー」
と笑い合った。
しかし、私はふっと気になった。
二人で2キロのバームクーヘンを、どうするのだろう。
そこでお尋ねした。
「お二人で2キロを買われるのですか?」
すると、あっさり、
「はい、そうです。車に冷凍庫がありますから」
それを聞いて、俄然、私のアンテナが反応した。
「ということは、キャンピングカーでいらしたの?」
「はい」
「どちらから?」
「徳島です」
「わぁー!」
そこから彼らの歴史を、林先生並みにインタビューした。
聞けば、この生活を始めて8年目だそうだ。
もう日本中、津々浦々を回ってきたとか。
春は桜前線とともに北上し、紅葉とともに南下するのが習わしだという。
可愛いティーカッププードル2匹がお供をしているらしい。
この子たちは沖縄から一緒に北海道へ来て、帯広で骨折した。
帯広では治療ができず、釧路の病院へ。
そこでも治療ができず、札幌の病院で入院治療をしてきたのだとか。
移動する家が、当たり前の暮らしになっている。
「暮らすように旅をする」とは、彼らのことだろうか。
子供がいないので、こういう暮らしに切り替えたとも話された。
私は、狭くてもベッドとバスがなければ眠れない。
彼らのタフさが羨ましかった。
バームクーヘンの行列も常連さんらしい。
「お正月に来たら、餅まきもあるから、また会いましょう」
と誘われたが、ちょっと無理。
「ゴルフのティータイムが迫っていますので、このまま行きます。良い旅を続けてください」
そう言って、固い握手を交わした。
もう一度、どこかでお会いしたい。
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