阿寒湖アイヌコタンへ

「阿寒湖アイヌシアター〈イコロ〉」はコタンの入り口にあり、横には駐車場もあった。
スムーズな流れでステージのそばの椅子に座ると、間もなく開演となった。
演目は「満月のリムセ」。
これは近年の新演目であるらしい。この時間以外の演目は「古式舞踊」だという。
たまたまだったけれど、一番の新作に巡り合えた。
が、正直に言えば急な予定変更だったので、事前の知識は皆無だった。解説もなかったので、踊りの意味は帰宅後に検索して、ようやく理解した。あまり褒められない観客である。
ただ、舞台映像や音楽、衣装などは目を見張るものがあった。
ストーリーが分かっていれば、もう少し楽しめたと思う。
阿寒湖のアイヌコタンは2回目の訪問である。
前回は2020年1月。真冬の北海道の祭典を見に来た時だから、もう6年も前になる。


人通りのないコタンは、気味が悪いほど静まり返っていた。
6年前に来た時、木彫りの店で槐(えんじゅ)の木でできたコーヒーカップを買った。

「木」に「鬼」と書く槐は、古来より魔除けや厄除けの神木として重宝されているという。
とても軽くて持ちやすいカップだった。
以来、家人は毎朝、このカップでコーヒーを飲んでいる。
6年の間、毎朝使ってきたのだから、もうすっかり我が家の暮らしの一部になっている。
阿寒湖で買った小さなカップが、毎朝の食卓で6年間を一緒に過ごしてきたのだと思うと、不思議な気持ちになる。
今回、そのカップを買った木彫りの店を探してみた。
けれど、すっかり忘れてしまっていて、見つけることができなかった。
店は見つからなかったけれど、6年前に買ったカップは、今も家で毎朝使われている。
そう思うと、阿寒湖を再び訪れたことが、ちょっと嬉しくなった。


開陽台へのドライブを止めたので、この日のお宿、養老牛温泉には1時間もあれば到着する。
温泉が自慢の宿であるらしいから、たまには明るいうちに投宿するのもいいだろう。

夕暮れが迫る雄阿寒岳を見ながら、養老牛温泉のある中標津町へ急いだ。
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