鮎を食べに行く

今年は「鮎」に縁がない。

毎年、特に計画をしなくても、どこかで「ザ・鮎」に出会っていた。
ところが今年は、思い出してみても、どこにも鮎が出てこない。
9月の鮎は「子持ち鮎」になるらしい。
そんな話をご近所さんとしていたら、「鮎を食べに行こう」と話がまとまってしまった。

そして、いよいよ出掛けようという頃になって、能登半島に警戒レベルの線状降水帯が居座ってしまった。
こんな時に出掛けないというのも、一つの選択肢ではある。
けれど、みんなが自粛すれば、その地域はますます復興が遅れ、経済が回らないとも言われる。
被災地には気の毒すぎて旅行には行けない。
そう考える人もいるだろう。
けれど今は、「行くことが救済になる」という考え方もある。
力仕事には何の役にも立たないけれど、出掛けて行くことが救済になるのなら、私にもできる。

さて、出掛けようと支度をしてテレビをつけると、今度は福井県に線状降水帯が居座っていた。
あれよあれよという間に北陸道も閉鎖された。
高山回りも考えたけれど、こんな日は無理をしないというのも大事だろう。
予定を変更して、晴れを確認してから出掛けた。

北陸道から見える範囲ではあるけれど、福井県の田んぼは黄色く実っていた。
その一方で、所々に水たまりも残っている。
出掛けることが助けになると思っていても、やはり胸がチクッとする。
このチクッとする気持ちは、日本人の感情なのだろうか。

今年のように、明日は我が身に降りかかるかもしれない災害が次々と起こる。
それでも、今日、災害に遭っていない私たちは、普通に暮らしていいのではないか。
いや、普通に暮らすことも大事なのだ。

そう何度も自分に言い聞かせながら、鮎を食べに出掛けた。

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