アルプスの余韻と、ちひろの一枚

アルプスの絶景を後にして、ちひろ美術館まで下りてきた。

広大な敷地には桜の大木がゆったりと木陰をつくり、芝生の上では寝そべる人の姿も見える。ここに身を横たえ、雲の流れをただ眺める時間は、きっと何ものにも代えがたい心地よさだろう。

今回の展示は、ちひろの経歴をたどる内容が中心で、作品数はやや少なく感じられた。その中で、ふと足を止めた一枚がある。

見慣れているはずの、紅い手袋をした女の子の絵。
「私の生まれた日は雪だった?」——正確な言葉は違うかもしれないが、そんな趣旨のキャプションが添えられていた。

その一文を読んだ瞬間、それまで何度も見てきたはずの絵が、不思議と息づき始めたように感じた。静かだった画面に、物語が流れ込み、少女の存在がぐっと近づいてくる。
この絵が『ゆきのひのたんじょうび』という絵本の表紙だったことも、今回初めて知った。

広い土地に建つ平屋の大きな建物。
雪の季節は厳しい寒さに包まれるのだろうが、春になれば、この場所はまるで天国のようなやわらかさに満ちる。そこに立っているだけで、心の中に余白が生まれていく——そんな場所だった。

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