記憶を塗り替えた桜に出会った|長野県小川村

私の桜の記憶を塗り替える一景に出会った。
それは、小川村でのことだ。
この村に家族で移住した、年の離れた友人が、昨年SNSに桜の写真を投稿していた。
一目見た瞬間、「来年は必ずここへ行こう」と心に決めた。


自宅からおよそ400キロ。
決して近い距離ではない。
それでも、その道のりは無駄にはならない気がしていた
小川村といえば「おやきの村」くらいの知識しかなかったが、「日本で最も美しい村連合」に加盟していると聞けば、なるほどと頷ける。

村の入り口に差しかかると、あちらこちらに大きな桜の木が姿を見せはじめる。
道路沿いには水仙が植えられ、目に入るのは山の新緑、桜のやわらかなピンク、足元に広がる水仙の白と黄色。
その色彩の重なりに、気持ちは自然とほどけていった。

番屋の桜を目指して山へ分け入る。
番屋の桜
道は細く、すれ違いも気を遣うほどだが、水仙の道はどこまでも続いている。
ヘアピンカーブをひとつ曲がるたびに、目の前に現れるのはどこか懐かしい山村の風景。
淡い桜と濃い桜が重なり合い、その向こうには北アルプスの山々。
思わず言葉を失い、ただ立ち尽くして見入った。

小さな駐車場に車を停めると、その下には緑の斜面が広がっている。
ふと目をやると、ヤギが静かに草を食んでいた。
それはまるで、どこか遠い記憶の中にある「日本の原風景」のようだった。

——本当に、ここは現実なのだろうか。
そう思ってしまうほどの美しさの中で、
ただ、しばらくその場を離れられずにいた。
小川村で出会ったこの桜は、
確かに、私の中の春を塗り替えた。
おまけ 二反田の桜

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