神も仏もない

半世紀も前になるけれど、シンガポールで初めてスコールを経験した。
突然、空が暗くなり、突風とともに大雨が落ちてきた。
ところが数分後にはピタッと雨が上がり、元の空に戻った。
シンガポールのオーチャード・ロード。
背の高いレインツリーの並木道で遭遇したスコールだった。
庭に水撒きをした後のような爽快さだった。
「これがスコールというのか」と、亜熱帯の気候に初めて触れた瞬間でもあった。
最近の日本も、亜熱帯のようになったのではないかと思うことが度々ある。
けれど、警戒レベル5の豪雨は、私が知っている亜熱帯のスコールとは全く違う。

今月は熊本、千葉、能登半島と、被災地に容赦のない追い打ちがかかる。
何かが狂っている。
何が狂っているのか、私には分からない。
どうすればいいのかも分からない。
ただ、心が波立ち、気持ちが前向きになれない。
このままでは、日本中が鬱状態になってしまいそうだ。

日本中の叡知を集めて立ち向かっても、後手に回る状態が続いている。
神様、仏様がおられるのなら、こんなことにはならないはずだ。

先日、ほんの少し神様の存在を信じ始めたけれど……
神も仏もない。

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