初めて真正面から見た、びわ湖の花火

びわ湖のそばに暮らして半世紀。
その間、一度もびわ湖花火大会を会場で見たことがなかった。
家から小さく花火は見えるし、大きな音も聞こえる。
「いつでも見られる。」
そう思っているうちに50年が過ぎてしまった。
今年こそ観覧席を買おうかとも思ったが、帰りの混雑を考えると、どうしても腰が重い。
ところが今年は、びわ湖フロントのマンションにお住まいの方のお宅で、真正面から花火を見せていただく機会に恵まれた。
マンションの裏は公園、その先は湖岸である。
朝早くから場所取りをしたシートや椅子が並び、どこか夜桜見物のような賑わいだった。

今年は花火大会初となる1300機のドローンショーも予定されていた。
楽しみにしていたのだが、風の影響で中止となり、花火だけが始まった。
大会終了後にドローンショーは行われたそうだが、少し肩透かしを食った気分である。
それでも、目の前に広がる花火の迫力は想像を超えていた。
ベランダの真正面には花火船が見え、大輪の花火が目の前で開く。
一瞬遅れて「ドーン」と体に響く音。
あちらこちらから歓声と拍手が起こり、子どもたちの弾む声も心地よく夏の夜空に響いていた。



遠くから眺める花火とは、まるで別物だった。
写真を撮ろうと思った瞬間には花火はもう崩れ始める。
花火は、本当に一瞬の芸術なのだ。
結局、最高の一枚は撮れなかった。
その代わりに、目の奥へしっかり焼き付けて帰ってきた。
ぴゅーっと空へ上がり、大輪の花を咲かせ、ドンと音を残して消えていく。
花火は、どこか人生に似ている。
そんなことを思いながら、初めて真正面から眺めたびわ湖の花火を、いつまでも見送っていた。
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