旅の始まりは一本の電話から

旅が好きとはいうものの、離島の旅だけはなかなか腰が上がらない。

地図を広げると、奄美大島と島根県の隠岐の島だけが、まだ白紙のまま残っている。
そうなると、「やはり行っておこうか」という気持ちになる。
それでも腰は重い。
船の乗り継ぎは、電車の乗り換えとは勝手が違う。
時間を一本逃せば予定が大きく狂うと思うと、それだけで気後れしてしまう。
ツアーなら簡単なのだろう。
けれど私は団体旅行があまり得意ではない。

思い切って地図を広げると、隠岐は四つの島を船で渡り歩く旅になる。
港の名前も覚えなければならず、それだけで頭の中が混乱してきた。

そんな時に頼ったのがAIだった。
旅程を組んでもらえば簡単に解決すると思っていた。
ところが、出来上がった日程を見ても、どうも納得できない。
調べ直しても答えがすっきりしない。

「誰か詳しい人はいないだろうか。」

そこで思い付いたのが観光協会だった。
電話をすると、とても丁寧に説明してくださり、船の乗り継ぎや見どころまで親身に教えていただいた。
その瞬間、肩の力が抜けた。
今まで旅の計画は、パソコンやAIだけで立てるものと思い込んでいた。
だから観光協会に電話をするという、ごく当たり前の方法を忘れていたのである。

便利な時代になった。
それでも、旅先を一番よく知っているのは、その土地で暮らす人たちなのだ。

電話を切ると、早速隠岐行きのスケジュールに取り掛かった。
観光協会の方と言葉を交わしただけで、隠岐の島が少し近づいた気がした。

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