待合室の時間

7月も残り一週間になった。
今年は、夫婦が次々に病院通いをする散々なふた月だった。
私は、待合室で過ごす時間は嫌いではない。
予約をしていても、一時間くらい待つことは珍しくない。
けれど、物は考えようである。
この時間は、誰にも邪魔されない自由な時間だ。
待合室では、ほとんどの人がスマートフォンを見つめている。
流れるニュースにも目を向けず、それぞれが静かな時間を過ごしている。
私は本を開く。
冷房の効いた待合室で、本のページをゆっくりめくる。
案外、家にいるより読書がはかどることもある。
ところが、昨日は違った。
隣に座った男性が、激しい貧乏ゆすりを始めた。
その振動は私の椅子まで伝わり、まるで私自身が貧乏ゆすりをしているようだった。
本を読もうとしても、視界の端で膝が絶え間なく揺れる。
それならいっそ、私もそのリズムに合わせて揺らしたら面白いだろうか。
そんな馬鹿なことを考えながら、しばらく揺れる膝を眺めていた。
結局、昨日は本に集中することができなかった。
待合室には、それぞれの待ち時間が流れている。
静かな時間もあれば、少し落ち着かない時間もある。
そんな日もある。
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