あの日の草間彌生さん

草間彌生という、稀有な芸術家にお会いしたことがある。
2001年、東京帝国ホテルで開催された「朝日賞」の授賞式の会場だった。
日本の頭脳と芸術に秀でた功績を上げられた方々を目の当たりにして、かなり興奮していたのかもしれない。
井上ひさしさんのゲストとして会場にいらした山本陽子さんや藤村志保さんに見とれていて、草間さんの印象は意外に薄いものだった。
けれど、それが草間彌生という名前と作品を意識するきっかけになった。
水玉模様の作品の良さが分からないまま、数年が過ぎた。
ところが、名前を意識したせいか、行く先々で彼女の作品に出会うようになった。
富山県美術館の屋上、青森県立美術館、直島。
直島での唯一の買い物は、かぼちゃのキーホルダー
その頃には、すっかり大ファンになっていた。


何度も見ているうちに、水玉のリズムが次第に心地よくなってきた。
2017年には京都の甲部歌舞練場で、草間彌生さんの花をモチーフにした作品47点をはじめ、貴重な初期作品や代表作など、全80点が展示された。
この頃には、草間さんが一段と身近な存在になっていた。
彼女の精力的な芸術活動に隠れて、年齢を意識することはほとんどなかった。
先日の訃報に接して、97歳だったことを改めて知った。
97歳にして、最後までほとばしるような創作を続けた草間彌生さん。
一度お会いした時には、まだその偉大さを知らなかった。
年月をかけて作品に出会い、少しずつその人の大きさを知っていったのだと思う。
偉大な芸術家の死が惜しまれてならない。
ご冥福をお祈りします。
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