マウレ山荘に帰る――心の森で寛ぐひととき

早朝から動いたおかげで、「マウレ山荘」にはまだ薄明かりが残る時間に到着することができた。
この宿には、もう何度訪れたか分からない。道東、道北地域に出掛ける時は、できるだけこの宿に泊まるよう、旅程を少し複雑にしてでもプランを立ててしまうほどである。
それほどまでに、心が落ち着くホテルであるのだ。いつか飽きるほど泊まってみたい。
そんなふうに思わせてくれる場所である。

この宿の最大の魅力は、やはりそのアプローチから始まる。


様々な樹々に包まれた道を進み、玄関をくぐると、重厚でありながらも心を引き付けるロビーが迎えてくれる。
中央に据えられた暖炉、飾られた柱の装飾、吹き抜けにかかるカーテン等、どこを見てもお気に入りのコーナーばかりである。



まるでヨーロッパの山岳リゾートの山荘に佇んでいるような感覚に包まれるのだ。

夕食は、和洋折衷のコース料理。前菜からデザートまで全八皿。
どの一皿も、オホーツクや近隣の野菜をふんだんに使った、丁寧で優しい味わいであった。


蛍烏賊の柚子味噌掛け、銀杏岩石揚げ 燻製塩にて 富有柿の白和え

生本鮪 秋刀魚 帆立

マウレ山荘茄子のポタージュ 黒コショウ仕立て

稚内産 青つぶの香草バター焼き

別海産 牛サーロインのロティ 栗とカカオの赤ワインソース

舞茸と紅あずまの炊き込みご飯 はまなすみそ仕立て 香の物

幌加内産 手打ちそば

ピスタチオとラズベリーのガトー ライチシャーベット

食事の途中、ホールスタッフがそっと声をかけてくれた。
「椅子にクッションをお持ちいたしましょうか?」
お願いすると、「ここの椅子は女性には少し深くなっておりますので」と、背中にやわらかくクッションを入れてくれた。

翌朝、別の朝食会場に行くと、また別のスタッフが同じようにクッションを差し込んでくれた。
驚いて「えっ、連絡されているのですか?」と尋ねると、「はい」とにこやかに笑ってくれた。
その一言に、この宿の本当の温かさを感じた。
何度訪れても気持ちよく過ごせるのは、こうしたさりげない気遣いと連携に守られているからである。

朝食はバイキング形式であるが、他のホテルのそれとは明らかに違う。
一品一品が丁寧に調理され、見た目にも美しい。
一度の朝食ですべての料理を味わうのは到底不可能であり、連泊してこそマウレの味を堪能できるであろう。
人の気配を近くに感じることはなく、程よい距離感があり、温泉は貸し切りのように静かで、心からゆっくりできるのも魅力である。

そして翌朝――。
いよいよ旭川の友人を訪ねる予定の日がやってきた。
マウレ山荘からはおよそ二時間の道のり。

澄んだ空気の中、木々の間から差す光を浴びながら、宿を後にした。

また必ず帰ってきたいと思う。
マウレ山荘は、訪れるたびに新しい「やすらぎ」を与えてくれる場所である。

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