蝉しぐれと共に始まる、読書の夏

朝7時。突然、蝉の声が鳴り響いた。
昨年はこの時間帯、散歩しながらよく聞いたものだ。今年はまだその機会もなく、蝉の存在すら忘れかけていたのに、まさかの「出張公演」しかも我が家で。
鳴き始めると、やっぱり暑さが増すような気がする。けれど、今年の暑さはもう別格だ。
「もう、どうにでもしてくれ」と開き直るしかないような熱波。
体感的には「これはもうイベント」ってレベルである。
先日、『国宝』という本を読んだ。
読むと止まらなくなり、吉田修一という作家に一気にのぼせた。
思えば私は昔から、こういう“のぼせ”に弱い。まっすぐ突っ走って、家族に笑われるのがいつものパターン。で、今回は『怒り(上下)』『愛に乱暴(上下)』を買った。


『怒り』は2016年に映画化されていたらしい。全く知らなかったが、娘がDVDを持っているそうだ。娘のほうがよほど流行に敏感である。
吉田修一、私にとっては初めての作家だったけれど、『国宝』を読んだとき、「この重厚な筆致、きっとかなりの年齢の作家に違いない」と勝手に思っていた。だが調べてみて驚いた。1968年生まれでまだ50代。
芥川賞をはじめ、数々の文学賞を受賞している。なるほどと納得しつつ、「なんで今まで読まなかったんだろう」と思うばかり。
ここ最近は気力もわかず、外出する気にもならなかったが、
冷房の効いた部屋で本を読む——これだけでも十分な夏の過ごし方ではないか。
この暑さでは何をするにも億劫になるけれど、
せめて本の中だけでも、こまやかな世界に浸っていたい。
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