兄に会えた朝

明け方、二年前に急逝した兄の夢を見た。
兄の死は、今でも受け入れ切れていない。
だから、
夢でもいい。
幽霊でもいい。
もう一度会って話がしたい。
そんな気持ちを、ずっと持っていた。
兄は私より二つ年上だった。
そして私は、もうすぐ兄が亡くなった年齢になる。
夢の中で兄は、京都駅前の病院に入院していると知らせて来た。
私はすぐに行こうと支度を始めたが、病院の名前が分からない。
うつらうつらしていたのだろうか。
兄は病院の名前をしっかり伝えてくれた。
「分かった、すぐに行く」
そう答えたのに、次の瞬間にはもう病院の名前を思い出せなくなっていた。
夢とは不思議なものである。
兄は酸素吸入をしていた。
私は兄の口元へスプーンを運び、何か食べさせようとしていた。
けれど、うまく口に入らない。
どうしたものかと考えている途中で、
ふと、
兄はもう亡くなっているのだと思い出した。
その瞬間、
これは夢なのだと分かった。
けれど、兄の夢を見られたことが嬉しかった。
ようやく会えたと思ったのである。
家人の入院が、どこかで兄の記憶と重なったのかもしれない。
理由は分からない。
それでも、目が覚めた時の私は、嬉しさでいっぱいだった。
久しぶりに兄に会えた朝だった。
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