独身生活は一日で終了

家人の入院中は、少し羽を伸ばして独身生活を楽しもうと目論んでいた。
ところが、そうはいかないことが初日で分かった。
原因は庭である。

猫の額ほどの庭なのに、土が少ない分だけ鉢植えが多い。
家人が常々、
「鉢は増やさないように」
と言っていた意味を、今さらながら痛感することになった。

早朝とはいえ、庭に出れば蚊が飛んで来る。

水やりも半端な時間では終わらない。
木の陰にも、植え込みの中にも鉢がある。
枝をかき分けながら、一つひとつ水をやる。

やれ終わったと振り返ると、今度は夏椿の花が点々と落ちている。
今日は見なかったことにしようと思った。
ところが翌朝になると、クレマチスまで加わって散り始めた。
ん、もおー。
結局、掃き掃除が始まるのである。

ゴミの日もやって来た。

たまたま月曜日は不燃ゴミの日だった。
考えてみれば、この十年近くゴミ出しをしたことがない。
捨てようと思っていた電気シーツは果たして出せるのだろうか。
市のゴミセンターのホームページを開き、あれこれ調べる。
電気シーツはコードごと出せるらしい。

ああ、時間がかかる。
今まではゼロ時間だった。
これだけで二時間近く費やしてしまった。

退院が近づいてくると、こちらの気も緩む。

そして同時に、家人が普段どれほどのことを引き受けてくれていたのかが見えてくる。
独身生活を楽しむどころではなかった。

私の独身生活は一日で終了である。

早く帰って来て、庭仕事とゴミの管理をして下さいよ。

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