夏の風物詩、大中の西瓜を求めて

びわ湖の東側、近江八幡市に近い大中は、関西でも有名なスイカの産地である。毎年一度は、この地に丸ごとの大きな西瓜を買いに足を運ぶのが恒例となっている。今年もそろそろスイカの季節。三連休には買い物客で混み合うだろうと予想し、ひと足早く金曜日に出かけることにした。
販売開始時刻は午前九時であるため、八時過ぎに家を出た。久しぶりに通る琵琶湖大橋は、朝のうちは清々しく、車窓からの風景も爽やかである。

販売所には九時数分前に到着したが、シャッターは下りたままであった。「あれ、少し早すぎたか」と訝しみつつ近づいてみると、シャッターの下部が少しだけ開いており、駐車場にはすでに車がぎっしりと並んでいた。どうやら皆、車内で待機しているようだ。
本日は午後に予定があるため、早めに来たが、普段は昼頃に訪れる。その時間帯の方が、むしろ空いている印象である。九時になるとシャッターが上がり、車から降りた人たちが一斉に中へと入っていく。場慣れしている人が多く、手際の良さがうかがえる。私は、まだ不慣れな“新人”である。
小ぶりのスイカを探す人、特大サイズを狙う人――目的は人それぞれだ。複数のスイカを買い揃えたい人は、やはり早く来るようである。私の目的は、大きなスイカを一玉。だが、なかなかきれいな球体のものが見つからない。
しばらく待つと、横付けされたトラックからきれいな球体のスイカが運び込まれた。台秤に載せられ、ガムテープに手書きで価格が記される。「4300円」今年買ったスイカの中では最も高額である。
家庭用にするのなら、必ずしも球体である必要はないのだが、価格は形に関係なく、重さで決められているようである。であれば、好きな形を選べばよかろう。
買ったスイカは思ったよりも重かった。家人が車に運んでくれたため、そのときは重さをあまり実感しなかったが、玄関に置かれたスイカを自分で運ぼうとしたら、びくとも動かない。袋の持ち手を引っ張って、床をずるずると引きずりながら何とか運んだが、なかなか骨が折れた。いったい何キロあるのか確かめたいところだが、このスイカを持ち上げるのは不可能と悟り、諦めた。

販売所内には、トウモロコシやまくわ瓜、玉ねぎなどが並べられている。トウモロコシを腕一杯に買う人がいる。あんなに沢山どうするのだろうかと要らぬ心配をしながら他人様の購買ぶりを眺めるのも面白い。
夏の風物詩であるから、参加することに意味があるのだ。
重たくて運ぶのに苦労した西瓜も、そのひとつ。汗をぬぐいながら「これも夏だな」と思えることが、何よりの贅沢である。
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