びわ湖のほとり

びわ湖のほとりに住んでいて、本当に良かったと思うのは、春から初夏へと移ろうこの季節だ。

春になると、道路の幅が狭くなったのではないかと錯覚するほど、山の木々が枝を広げ、覆いかぶさってくる。秋には真っ赤に染まっていた葉は、やわらかな薄緑へと姿を変え、光を受けて輝いている。

ひとくちに緑といっても、その色合いのなんと豊かなことだろう。淡く透き通るような若葉の緑、深みを帯び始めた落ち着いた緑――もしこれを水彩で描こうとするなら、いったい何色の絵の具が必要になるのだろうかと、思わず考える。

新緑を眺めながら車を走らせると、視界の先にはびわ湖が広がる。湖面にはさざ波が立ち、光を受けてきらきらと光る。その光景は、どこか現実離れしていて、毎年見ているはずなのに、思わず見とれてしまう。

「また今年もこの季節が来た」

そう思うたびに、少し大げさかもしれないが、生きていることの喜びのようなものが、湧き上がってくる。

もしここを、ひとりの旅行者として訪れたなら、この風景はきっと忘れられない記憶として心に残るだろう。
けれど、日々の暮らしの中でこの景色に出会えることこそ、何よりの贅沢なのかもしれない。

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