どこまで輝けるか

三十日に膝の手術を終えた友人から、元気な声で電話がかかってきた。
手術からまだ二日しか経っていない。
それなのに、自宅から電話をかけているのではないかと思うほど明るい声だった。
彼女はいつも、
「丈夫な体を両親からもらって、本当にありがたい。」と言う。
内科的な病気はほとんどない。
けれど股関節や膝には長年悩まされてきた。
人の経験談を聞いては試し、少しでも手術を避けられないかと考えていた。
膝の手術は股関節より難しいとも聞き、ずっと迷っていたのである。
ところが、ここへきて考えが変わった。
手術を受けた人たちが口をそろえて、
「やってよかった。」と言うようになったからだ。
「残された時間を考えたら、一日でも早く手術した方がいいと思うの。」
そう決めてからは早かった。
すぐに手術を申し込み、六月三十日に手術を受けた。
丈夫な体を授かったのだから、悪くなった膝だけ取り替えればいい。
そう考えられる時代になったのである。
ひと世代前なら、こんな選択肢はなかっただろう。
年齢を理由に諦める人もいる。
けれど、私の周りには、
「この年だからこそ、人生を味わいたい。」そう考える人が増えてきた。
断捨離も、遺言状も、墓じまいも大切である。
けれど、そればかりが人生ではない。
「何歳まで生きるかではなく、どこまで輝けるか。」
そう言って電話を切った友人の声は、手術前よりもずっと晴れやかだった。
その言葉を聞きながら、私もまだまだ前を向いて歩きたいと思った。
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