歌は時代の風景

財津和夫がNHKの『SONGS』に出演していた。
TULIPが活躍していた頃、曲はよく耳にしていた。
けれど、特別に熱心なファンだったわけではない。
ヒット曲が時代の風景として流れていた、そんな世代である。
それでも、「心の旅」「青春の影」「サボテンの花」などは、今でも自然と口ずさめる。
知らず知らずのうちに、心のどこかへ残っていたのだろう。
番組では、解散期間を挟みながらも五十年以上活動を続けてきたTULIPの歩みが紹介されていた。
デビュー間もない頃のツアーの舞台裏や、「雨の鈴蘭」と呼ばれる伝説のコンサートの映像。
どれも初めて知ることばかりだった。
今になって財津和夫という人の歩みを知ると、あの穏やかな歌声の奥にある誠実さや、長く歌い続けてきた理由が少し分かるような気がした。
最近は昭和のヒット曲を特集する番組が増えた。
歌は、その時代を生きた人の記憶そのものなのだろう。
同じ歌を聴き、同じ時代を過ごした人とは、初めて会ってもどこか話が合う。
財津和夫の変わらない歌声を聴きながら、半世紀前へ時間がゆっくり巻き戻っていくようだった。
懐かしいというだけではない。
心が静かに満たされていく夜だった。
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