本題以外が面白い

「第52回 しがらくご」を聴きに出掛けた。
ふた月に一度開催される落語会であるが、前回行けなかったので四か月ぶりである。

会場は出演される落語家さんの手作りなので、受付も彼らがこなしている。
私が受付に行くと、歌之助師匠が「前回はお休みでしたね」と声をかけて来た。
「そんなことが分かるのですか?」とお尋ねしたら、
「今、ホールで今日のチラシを取られたでしょう。前回来られてたらお渡ししていますから。」
と言われて納得した。

大津は午後から大雨になるような、どんよりとした空模様だった。
会場が閑散としていたら、などと要らぬ心配をしながら入場すると、いつも以上にお客が入っていて一安心した。
最初に登壇された惣兵衛師匠が、開口一番に
「楽屋では、沢山入ってくれたと大騒ぎになっています」
と言って笑わせた。

惣兵衛師匠と二乗師匠の話は、まくらが半分、落語が半分で短い話だった。
それぞれ「普請ほめ」と「紙入れ」である。
お二人とも、所作や表情に面白味が増していた。

一番面白かったのは、トリを務めた歌之助師匠だ。
「佐野山」という題で、相撲の八百長の話であったが、やはりまくらが面白すぎた。

今年の8月下旬にインドへ旅した話である。
至る所から現れる詐欺師たちとのやり取りと、その顛末である。
インド北部、標高3000メートルを超える高地にあるラダック地方のレー空港。
周囲はヒマラヤ山脈の険しい山々があり絶景であるそうだ。
そこをオートバイで走る計画を立て、2週間滞在したという。

詐欺の話は、帰り道で乗り継ぎ便のために立ち寄ったデリーの町で起きた。
歌之助師匠は、お見かけからは想像もできないアドベンチャーである。
私の知る限り、インドの標高3000メートル級の場所に一人で出掛けるなどという御仁を、ほかに知らない。
私はすっかり歌之助師匠のファンになった。

紅雀師匠の「禁酒番屋」は顔の表情と声色を使い分け、登場人物の一人ずつを際立たせる話し方は、さすがであった。

今日のらくご会は、本題以外のところで盛り上がってしまった。

それも含めて、手作りのらくご会の面白さである。

次回は11月16日(月曜日)です。

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