滋賀が生んだ才能に触れた日 ― 江戸落語独演会の記録

久しぶりに江戸落語を聴いた。
大津市出身、滋賀県初の江戸落語家である三遊亭わん丈の独演会。
2024年には16人抜きという異例の抜擢で真打昇進を果たした、まさに勢いのある噺家だ。
つい先日、同じく滋賀県出身で2025年津軽三味線世界大会A級の部を制した多田智大に驚いたばかりだが、なんとこの二人が7月に大津で共演するらしい。
次回の独演会で、出囃子の演奏に多田さんの名前があり、思わぬ形でのコラボに胸が高鳴った。
改めて、滋賀県の層の厚さに感心する。

第一部は、落語初心者でも楽しめるよう工夫された構成。
小さな子どもが声をあげて笑い、それにつられて会場全体が和やかな空気に包まれる。
落語の本来の魅力である「みんなで笑う時間」がそこにあった。
まくらでは、落語の起源についての興味深い話もあった。
豊臣秀吉の長浜時代、太鼓持ちが一人で何役も演じて人々を笑わせたことが原型ではないか、という説である。
調べてみると、
秀吉の時代に笑話の原型が生まれ、江戸時代に現在の落語として完成したという流れがあるようで、あながち荒唐無稽な話でもないらしい。
そして第二部は演目「お見立て」。
この演目でわん丈さんは、2024年「公推協杯全国若手落語家選手権」で大賞を受賞している。
物語は、花魁・喜瀬川に入れあげた田舎者の杢兵衛が、店側の嘘に翻弄され続けるというもの。
病気だと断られ、ついには「亡くなった」と言われ、それでも見舞い、さらには墓参りまで申し出る執着ぶり。
そのたびに右往左往する妓夫の喜助とのやりとりが実に可笑しい。
花魁の艶やかな仕草、気の進まないまま話を取り繕う喜助、そして純朴ゆえに騙され続ける杢兵衛。
観ている側は思わず同情しながらも、巧みな展開に引き込まれていく。
そして最後は、やはり落語らしい鮮やかなオチ。
笑いと余韻が見事に共存する一席だった。
高座も印象的だった。
遠くからでもよく見えるように設えられた数メートルの高さで、空間全体が「落語の場」としてしっかり作られている。

真打の話芸を存分に味わえた日であった。。
次は7月、大津での独演会と二人の共演を楽しみにしている。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。












この記事へのコメントはありません。