最後まで、佐藤愛子さんは佐藤愛子さんだった

直木賞作家の 佐藤愛子 さんが、102歳で亡くなられた。
私より20歳以上も年上でありながら、不思議と気持ちの通じる作家だった。
話の風通しがよく、世間に迎合しない。
常に切れ味のある言葉で、本音を語る人だった。
『90歳。何がめでたい』を出版された頃、私は90歳になる姉の介護が始まったばかりだった。
確かに、90歳は世間が言うほど“めでたい”ばかりではない。
けれど、多くの人はそこを正直には書けない。
書けば批判も来るだろうし、夢を壊すと言われるかもしれない。
しかし佐藤さんは、そんな空気をまるで意に介さなかった。
世間が期待する“きれい事”を裏切りながら、本音を語る。
そこが痛快で、私はいつも胸が空いていた。
私が彼女に強く興味を持ったのは、北海道の別荘で怪奇現象が起こり始めた頃だった。
もし話題作りだけの人なら、
「実はフィクションでした」
と、どこかで逃げ道を作ったかもしれない。
けれど、彼女は違った。
自分の身に起きたことを、そのまま書いた。
だから、別荘での怪奇現象を信じ、科学の時代になっても解明できない霊の世界が魅力的に思えた。
佐藤さんが、亡くなられてから『冥土のお客』を読んだ。
私は、死後の世界は「無」だと思っている。
彼女も、元々はそう考えておられたそうだ。
けれど数々の心霊体験を経て、
この世は仮住まいであり、
あの世こそ本来帰る場所
とまで書かれていた。
そこは、さすがに私は半信半疑である。
けれど今頃、天上界に到着されているのかもしれない。
そして、もし可能なら、「話は違った。半分訂正」
などと、あちらから一本書いてくださったら、どんなに痛快だろう。
最後まで、佐藤愛子さんは佐藤愛子さんだった。
心よりご冥福をお祈りします。
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