功名が辻 ‐ 司馬遼太郎

「信長の棺」と同時進行で読んでいた「功名が辻」4巻を読み終えた。
どちらも同じ時代の物語であるが、司馬遼太郎は加藤廣の秀吉よりもユーモアたっぷりに書いている。
交互に読むと一人の人物の見方を変えて読める事は面白く読書の醍醐味である。
4巻目には永井路子さんが解説を書いている。
これを読んで、小説はフィクションであると思い知った。
現在NHKの大河ドラマで放映されているが、これは脚本があるので小説とはいささか違っても納得している。
しかし「山内一豊」は「千代」の内助の功で出世をしたと後世に伝えられた有名な話を外しては語れない。
なのに、永井さんと司馬さんの間で『信長の「馬揃え」の時期には一豊は既に2千石を貰っていて千代のへそくりを当てにする事はなかった』ので「作り話」ではと語られるとショックである。
内助の功だの妻の鏡だのと現在まで語り継がれていますからア~。
馬を買うに当たり、千代が持参金を出した時に一豊が「われら二人は年中貧乏に耐えて来たのに、お前だけはひっそりと黄金を秘めかくし、知らせなんだ。なんと情のこわいおなごよ」という下りでは「どきっ」とさせられた。
司馬遼太郎はこの話を「千代は馬などよりも『うわさ』を黄金十枚で買ったといってもいい。馬は死ぬ。うわさは死なないのである」と語る。
現在にまで残るうわさ話の主人公、千代の亭主操作の足元にも及ばない自分に恥じ入るばかりである。
が、これほど賢い妻が側にいたなら果たして幸せであろうかと、一豊に聞いてみたくもある。
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