深夜のタイヤ音に、思い重なる

夜中にふと目を覚ますと、湖西道路を走る車のタイヤの音が遠くから伝わってくる。
静まり返った時間だからこそ、その音はやけにくっきりと耳に届く。
こんな時間に車を走らせるなんて、きっとしんどいだろうな。
早く家に帰りたいよね。
そんなことを思いながら、もう一度目を閉じる。
博多や千葉に住んでいた頃、滋賀に帰るときは決まって夜だった。
家人が仕事を終えた午後7時や8時から、500キロ、600キロの道のりを車で走った。
高速道路の外に流れていく民家の灯りが、妙に羨ましかった。
あの灯りの下では、きっと誰かがのんびりテレビを見ている。
夜が更ければ、その明かりも一つ、また一つと消えていく。
「ああ、もうみんな眠ったんだな」と思いながら、灯りを見続けた。
それでも、自分の家まではまだ1時間以上。
とくに寒い季節は、あの灯りがいっそう恋しく感じられた。
だからだろうか。
今、耳に届くタイヤの音が、どこか懐かしい。
あの車の中にも、誰かが帰り道を急いでいるのだろう。
無事に、そして一刻も早く、待っている家族のもとへ帰れますように――
そんなことを、つい思ってしまう。
運転している人は、どんな気持ちでハンドルを握っているのだろう。
まさか、見ず知らずの誰かが自分のことをこんなふうに思っているなんて、想像もしないだろう。
けれど、もしかしたら。
あの頃の私にも、どこかで同じように思ってくれていた人がいたのかもしれない。
そう考えると、少しだけあたたかい気持ちになる。
深夜のタイヤの音は、そんな想像を連れてくる。
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